デイトレーダーが法人化するメリット・デメリット
平成18年5月1日より会社法が施行され、出資払込金保管証明書を金融機関に発行して貰う必要がなくなり(発起設立の場合)、ますます、会社を設立し易くなりました。
デイトレーダーが法人化するメリットはやはり対外的、対内的信用力を獲得出来るという面が大きいと思います。日本においてはデイトレーダーというものがあまり認知されておらず、周囲の人に理解してもらうにも一苦労だと思います。多額の利益をトレードで毎月上げていても、家族、親戚、近所等の目は冷たいものがあると思います。 その原因として、株=ギャンブル、財テクというイメージで働いていない、遊んでいる、つまり「無職」と認識されていることが大きな原因であると考えられます。確かに職業欄にはデイトレーダーとは書けません。そこで会社を設立して、会社名義でトレードを行えば、職業欄に会社経営と書くことが出来、家族(親、配偶者、子供)にいらぬ苦労や心配を掛けずに済みます。また、会社の経営者となることで一国一城の主となり意気込みも変わってくるでしょう。毎月の利益が少ない(又はマイナスの)場合は、まず、利益を出せるトレードスタイルを確立することが先決です。まずは日々研究を行い、トレードシステムの開発等を行ってください。
また、法人化することにより、下の表にあるように税制面等でのメリットが大きいのも見逃せません。個人名義で取引 を行っていた場合と比べ、経費と認められる範囲が格段に広がります。また、会社から報酬を受け取る形になるため節税効果もさらにアップします。また、個人では株式の譲渡所得と先物の譲渡所得は損益通算出来ませんが、会社の営業活動としてのトレードの場合は損益が通算できます。デイトレーダーの方がよく取引される225先物と株の損益が通算できるのも大きなメリットではないでしょうか。このように節税効果を高めるための会社設立も十分過ぎるほどの魅力があります。
注:あくまでも弊事務所が考えるデイトレーダーの法人化のメリット・デメリットです。
メリット | デメリット | |
経営上 | ・信用力の獲得 ・社会保険に加入出来る | ・会社設立・運営の手間が掛かる(例:会計記帳、決算業務、年末調整、社会保険緒手続き等) ・特定口座を利用できない |
法律上 | ・株式会社の場合、有限責任 | ・各種法律による規制が厳しい |
税法上 | ・経費として認められる範囲が広い(例:トレードに使うパソコン、プリンター、四季報、関連書籍、新聞代、家賃、電気代等)
・給与所得控除が利用できる ・家族を使用しての所得の分散 ・欠損金の繰越控除期間が7年 ・役員退職金を経費計上できる | ・赤字の場合でも、法人住民税が最低7万円 ・交際費が全額損金算入できない |
※「同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上の数の株式を有し、かつ、常勤役員の過半数を占める 場合等には、当該業務を主宰する役員に対して支給する給与のうち給与所得控除に相当する部分として、 計算される金額は、損金の額に算入しない。」という内容の平成18年度税制改正がスタートしております ので、注意が必要です。
デイトレーダーが法人化する上での注意点
定款の目的(事業内容)に記載することにより、営業活動(営業損益)として認められることになります。トレードを行うだけの目的(事業内容)のみの記載での会社設立は難しいかもしれません。投資を行う投資会社というイメージならば、証券会社、投信会社、投資顧問等といったハードルの高いものになってしまいます。
本業としての目的(事業内容)を有価証券の売買等に絞ってしまうと、官公署への手続きや融資申込等の手続きもすすみ難いと考えられます。つまり本業は別にしておき、例えば、ITサービス業のような目的(事業内容)にしておき、トレードの目的(事業内容)を付け加えるというようにすれば良いと思います。
・実際の株式会社の定款の目的の例(ソフト開発等と株価指数先物・オプション)
(抜粋)1.情報処理サービス業並びに情報提供サービス業 2.ソフトウェアの開発、販売 8.有価証券の取得、投資、保有、運用 9.株価指数先物取引、株価指数オプション取引